病気の90%は、ある日突然やってこない

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病気の90%は、
ある日突然やってこない

01

「突然」ではなかった

心筋梗塞は、突然やってきたように見えた。

山で息が上がり、仲間に置いていかれ、医者に三回「死ぬよ」と言われた。あの日から、人生は確かに一変した。

でも今なら、はっきり言える。

あれは、突然じゃなかった。朝から天丼、毎晩ビール1リットル、タバコ二箱。何十年もかけて、俺が自分で作った結果だった。

そして皮肉なことに———

「病気はこうして作られる」という地図を、俺は20年も前から持っていた。

俺が学んだ自然療法の学校に伝わる、「健康基礎理論」という一枚の図だ。

今日は、その地図の話をしたい。

02

病気には、2種類しかない

この理論は、まず病気を2つに分ける。

ひとつは急性病。細菌や外傷によるもので、病気全体の5〜10%。これは医者の領分だ。薬、注射、手術。現代医学が一番力を発揮する場所で、ここは素直に世話になればいい。

もうひとつが慢性病。残りの90〜95%が、こっちだ。

高血圧、糖尿病、そして俺の心筋梗塞。これらは細菌がくれた病気じゃない。体質がじわじわ悪化した先に、名前がつくものだ。

つまり、病気の9割は「かかる」ものじゃなく、「作られる」もの。

誰が作るのか。

自分だ。

03

原因には、3つの深さがある

じゃあ、どうやって作られるのか。

この図の面白いところは、原因を一列に並べず、深さで分けたところだ。

いちばん浅いのが、直接原因。骨格の異常、循環の異常。腰が痛い、血圧が高い。表に出てくる「症状の現場」だ。

その下に、間接原因がある。血液の質が悪くなる。すると細胞の働きが鈍る。すると神経の伝達が乱れる。体の中で静かに進む、目に見えない連鎖だ。

体力が落ちる。自然治癒力が落ちる。体温が下がる。免疫が下がる。図には、こういう状態が7つ並んでいる。どれも「病名がつく前」の話だってことに、注目してほしい。

そして、いちばん深いところに根本原因がある。

それが———

食事。運動。睡眠。心。

たったこの4つだ。図ではこれを「健康四原則」と呼んでいる。

症状は末端。根っこは、毎日の生活そのもの。

薬は直接原因には効く。でも根っこを放っておけば、また同じ場所から芽が出る。

俺の冠動脈が3本とも詰まっていたのは、根っこを40年放置した男の、当然の結果だった。

04

時代が、理論に追いついた

この図には「治未病」という言葉が出てくる。病気になる前に治す。東洋医学の古い考え方だ。

俺が学んでいた頃、これはまだ「一部の人の話」だった。病気になったら病院へ行く。それが常識で、予防なんて趣味の領域だった。

今はどうだ。

国が「健康寿命」を掲げ、人生100年時代と言い、一次予防———つまり病気を発生させないことが、医療政策の柱になっている。

食事、運動、睡眠、そして心の健康。テレビでも雑誌でも、言ってることの根っこは、あの一枚の図と同じだ。

理論が時代に追いついたんじゃない。時代が、理論に追いついたんだと思ってる。

05

地図を持っていたのに、遭難した男

ただ、誤解しないでほしい。

この連載は、「正しい健康知識のご紹介」じゃない。

なにしろ書いてるのは、この地図を20年学び、教える側にまで立ちながら、朝から天丼をかき込んで心筋梗塞になった男だ。

地図を持っていたのに、遭難した。

だから、地図の正しさは誰よりも知ってる。見なきゃ意味がないことも、誰よりも知ってる。

この連載は、一度死にかけた男が、同じ地図をもう一度広げて、歩き直す記録だ。

次回から、根っこの4本柱を1本ずつ書いていく。まずは「食事」から。

なにしろ俺は、「やぎじゃないので、野菜は食べさせないでください」と妻に宣言した男である。

話は、そこからだ。

連載「健康の地図」第1回

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